関節リウマチとは

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis: RA)は、体の免疫機能が自分自身の関節を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。この免疫異常により、関節に慢性的な炎症が生じ、痛みや腫れを引き起こします。進行すると関節の変形や運動機能の低下を来します。

はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、遺伝的な要因や、喫煙や歯周病などの環境要因が複雑に絡み合って発症に関与すると考えられています。ただし、親が関節リウマチであっても、子供が関節リウマチを発症する確率は約5%でそれほど高いわけではありません。

20~80代と幅広い年齢で発症します。以前は30~50代の働き盛りの方に発症することが多かったのですが、最近は高齢で発症する方が増え、発症のピークが40〜60代に移行しています。

主な症状

初期症状としては、朝のこわばり(起床時に手足の腫れぼったい、動かしにくい感じ)、関節の痛みや腫れが認められます。特に手や足の指、手首に症状が出ることが多いですが、肘、肩、膝、足首などの大きな関節にもみられます。

多くの場合左右対称に複数の関節に症状が現れますが、片側だけ、あるいは少数の関節に限局することもあります。

また、全身倦怠感、微熱、食欲低下などの全身症状や、皮膚・眼・肺などの関節以外の臓器に症状が出ることもあります。

診察・検査と診断

診察、血液検査、画像検査を組み合わせて、総合的に評価し、診断します。

診察

手足の関節を含む全身の68関節を丁寧に触診し、関節の圧痛や腫脹の有無を調べます。
ドクターの感性、技量、経験の差が最も出るところです。

雑に見れば見るほど関節の腫れや圧痛を把握できなくなり、見かけ上、関節リウマチの状態が良いと判断されるので注意が必要です。

血液検査

関節リウマチに関する抗体(リウマトイド因子[RF]、抗CCP抗体、抗ガラクトース欠損IgG抗体)の有無や血液炎症マーカー(CRP、赤血球沈降速度)上昇の有無を調べます。

上記の血液検査は約30%の関節リウマチ患者で正常です。特に発症から間もない方や高齢で発症された方では、リウマトイド因子が陰性となる割合がより高くみられます。

従って、血液検査で関節リウマチかどうかは判断できません。

画像検査

関節レントゲン検査

骨や軟骨の破壊の有無や関節の変形を確認します。レントゲンには炎症は映らず、関節炎の有無は判断できません。

発症して間もない早期の関節リウマチや、症状の軽い軽症の関節リウマチでは、レントゲンで明らかな異常を認めないこともしばしばあります。

関節エコー検査

関節滑膜の肥厚の有無を判定したり、造影MRI検査より感度は下がりますが、パワードプラ法を用いて血流の増加を確認し、画像的に関節炎の有無を判断できる場合があります。

関節造影MRI検査

関節炎や骨の破壊を非常に鋭敏に検出します。両手・両手指など複数の関節を同時に客観的に評価することができます。骨髄浮腫を捉えて関節の破壊を予測することも可能です。関節炎に関して、関節エコーより鋭敏に検出することができます。

当クリニックでは早期関節リウマチの診断に際して、画像診断専門クリニックと連携し、積極的に関節造影MRIを用いることにより、関節炎の検出感度を最大限に上げるよう工夫しております。

これまでに関節造影MRIを1500件以上施行した実績があります。

治療

治療の目標は、関節の炎症をしっかりと抑え、痛みや腫れをとり、関節の機能を守ることです。健康な人と変わらない日常生活や仕事をこなし、趣味を存分に楽しんでいただくことを目指していただきます。そのためには関節の破壊や変形が進まないように早期に診断し、適切な治療を開始することが重要です。近年、治療法が大きく進歩し、関節の破壊を防ぐことが可能となってきております。

当院では患者さま一人ひとりの病状・年齢・合併症・生活背景を考慮した治療を行っております。

リウマチ ウェブ市民公開講座

第1話 リウマチとはどんな病気?

第2話  関節リウマチの病態

第3話 関節リウマチの診断

第4話 関節リウマチの治療

上部へスクロール